前橋地方裁判所 昭和48年(わ)306号 判決 1974年3月15日
本店所在地
前橋市住吉町一丁目二番六号
械式会社石田
右代表者代表取締役
石田鈴春
本籍
前橋市平和町一丁目六八番地
住所
同市住吉町一丁目一番八号
会社役員
石田鈴春
昭和六年五月七日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官高村七男出席の上審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告会社株式会社石田を罰金五七〇万円に処する。
被告人石田鈴春を役一年に処する。
被告人石田鈴春に対してこの裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社は、前橋市住吉町一丁目二番六号に本店を置き、「自動車運送事業・葬具花輪仏具等の賃貸及び販売・会員を集め月掛金方式による冠婚葬祭用具の賃貸」等を目的とし、昭和四三年二月二二日設立された資本金四、二〇〇、〇〇〇円の株式会社であり、被告人石田鈴春は、右被告会社の代表取締役社長として同会社の業務全般を統轄しているものであるが、被告人石田鈴春は、被告会社の業務に関して、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外して簿外預金を設定するなどの不正な方法により、所得の一部を秘匿したうえ、
一、被告会社の昭和四四年七月一日から同四五年六月三〇日までの事業年度における実際の所得金額は二一、七五八、六七一円で、これに対する法人税額は七、六九七、一〇〇円であったのに、同四五年八月三一日、前橋市表町二丁目一六番七号所在の前橋税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一、〇八六、三八七円で、これに対する法人税額が二六七、六〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって実際の法人税額と右申告税額との差額七、四二九、五〇〇円を逋脱し、
二、被告会社の昭和四五年七月一日から同四六年六月三〇日までの事業年度における実際の所得金額は二八、二六五、三六八円でこれに対する法人税額は一〇、一〇四、三〇〇円であったのに、同四六年八月三一日、前記前橋税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一、五二一、七五〇円で、これに対する法人税額が四〇五、七〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって実際の法人税額と右申告税額との差額九、六九八、六〇〇円を逋脱し、
たものである。
(証拠の標目)
一、被告人の当公判廷における供述
一、被告人の検察官に対する供述調書二通
一、被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書一四通
一、被告人作成の「答申書」「提出書」と各題する書面
一、石田すみ江の検察官に対する供述調書および大蔵事務官に対する質問てん末書四通
一、登記官富田重樹作成の登記簿謄本
一、国税査察官小池武彦の検察官に対する供述調書
一、同査察官作成の「勘定科目等別表」「簿外売上金調べ」「売掛金調査書」「査察官調査書」「簿外預金残高および受取利息調べ」「前橋信用金庫岩神支店調査関係書類」「個人収支調査書類」「資金取得調査書」「簿外経費調査書」「現金残高調査書」と各題する書面
一、同査察官外一名作成の「大生相互銀行沼田店銀行調査関係書類」「南証券株式会社調査関係書類」と各題する書面
一、同査察官外二名作成の「群馬三和信用組合店関係書類」と題する書面
一、国税査察官後藤幸男作成の「簿外売上調査書」「査察官調査書」「前橋信用金庫北支店調査関係書類」と各題する書面
一、国税査察官小林定雄作成の「群馬県互助センター預り会費調査集計表」と題する書面
一、国税査察官小松広記作成の「査察官調査書」と題する書面
一、収税官吏石沢宏一外一名作成の「大生相互銀行本店調査関係書類」と題する書面
一、収税官吏金子一男外一名作成の「大栄信用金庫前橋支店銀行調査関係書類」「足利銀行前橋店調査関係書類」「協和銀行前橋店調査関係書類」と各題する書面
一、収税官吏武石栄八作成の「群馬銀行 町支店調査関係書類」と題する書面
一、収税官吏内津昌喜作成の「栃木相互銀行前橋支店調査関係書類」と題する書面
一、収税官吏古平伸吾作成の「前橋信用金庫本店調査関係書類」と題する書面
一、吉川秀外一名作成の「日興証券本社営業店調査関係書類」「山一証券前橋支店調査関係書類」と各題する書面
一、根津久子、奥野はつみの各検察官に対する供述調書および大蔵事務官に対する質問てん末書
一、平野英夫の検察官に対する供述調書および大蔵事務官に対する質問てん末書二通
一、前橋税務署長作成の「証明書」と題する書面八通
一、前橋財務事務所長作成の「証明書」と題する書面三通
一、前橋市長作成の「証明書」と題する書面
一、押収してあるノート一冊(昭和四八年押第八四号の一)、売上集計表一綴(同号の二)、売上額集計表メモ(同号の三)、日計表綴一綴(同号の四)、葬祭申込用紙綴(同号の五)
(法令の適用)
被告人石田鈴春の判示所為は法人税法第一五九条、第七四条第一項第一号に、被告会社の判示所為は同法第一五九条、第七四条第一項第一号第一六四条第一項に該当するところ、各所定刑中被告人石田鈴春については懲役刑を、被告会社については罰金刑を各撰択し、各被告につき、判示第一、第二の罪は刑法第四五条前段の併合罪なので、それぞれ同法第四七条本文、第一〇条により重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期および金額の範囲内で被告人石田鈴春を懲役一年に、被告会社を罰金五七〇万円に処し、被告人石田鈴春につき、情状により同法第二五条第一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右の刑の執行を猶予することとする。
よって主文のとおり判決する。
(裁判官 多田周弘)
右は謄本である。
前同日同庁
裁判所書記官 神尾正雄